それは私が深夜にリビングで読書をしていたときのことでした。家族は皆寝静まっており、家中が静まり返っているはずなのに、ふと耳を澄ますとどこからか水が流れるような微かな音が聞こえてきたのです。最初は外で雨が降り始めたのかと思いましたが、窓の外は晴天で星も見えていました。音の出どころを探してみると、どうやら廊下の先にあるトイレから聞こえてくるようです。不審に思ってトイレのドアを開けてみましたが、誰も使っていませんし、床が濡れているわけでもありません。しかし、便器の中をよく見てみると、水面にわずかな波紋が立ち、水が絶え間なく流れているのがわかりました。これがいわゆる水道を使っていないのに音がする状態なのだと、その時初めて実感したのです。翌朝、私はすぐに水道メーターを確認しに行きました。家中の水道を止めているにもかかわらず、メーターの小さな羽根車がゆっくりと回り続けていました。これは紛れもなく漏水です。調べてみると、トイレのタンク内にある部品の劣化が原因であることが多いと知り、自分でタンクの蓋を開けて中を覗いてみました。すると、水を止めるためのゴム製のパッキンがボロボロになっており、そこから隙間風ならぬ隙間水が漏れ出していたのです。長年使い続けてきた設備だったので、ゴムが寿命を迎えていたのでしょう。わずかな漏水だと思って甘く見ていましたが、これが二十四時間休みなく続けば、一ヶ月後の水道代が恐ろしいことになると気づき、背筋が寒くなりました。私はすぐに馴染みの水道修理業者に連絡を入れ、修理を依頼しました。業者の話によれば、トイレの漏水は音が小さいために気づくのが遅れるケースが多く、水道局からの指摘で初めて発覚することも珍しくないそうです。幸いにも私の場合は、夜の静寂の中で音に気づけたため、早期発見と言える状況でした。作業自体は一時間ほどで終了し、劣化した部品を新品に交換してもらうと、あんなに気になっていた水音はピタリと止まりました。修理後に改めてメーターを確認すると、パイロットはぴくりとも動いていません。たった数百円の部品の劣化が、大きなトラブルを招く可能性があることを学び、これからは定期的にセルフチェックを行おうと心に決めました。家の健康を守るのは、住人である自分自身の小さな気づきなのだと痛感した出来事でした。
深夜のトイレから響く水音の正体と漏水修理の体験記