住宅診断の現場で、私たちは数多くの「手遅れに近い」床下漏水に遭遇します。多くの住人は、蛇口から水が噴き出さない限りは大丈夫だと思い込んでいますが、真に恐ろしいのは床下の静かな浸水です。プロの視点から、家庭でできる床下漏水のチェックポイントをいくつかお伝えします。まず、最も確実なのは水道メーターの確認です。家中の蛇口をすべて閉めた状態で、水道メーターにある小さなパイロットがわずかでも回転していれば、どこかで漏水が発生しています。次に、洗面台下の収納スペースの奥を懐中電灯で照らしてみてください。排水ホースと床の接合部分に、白っぽい粉を吹いたような跡や、木材の変色がないでしょうか。これは水が乾いた跡であり、過去に漏水があったか、現在進行形で漏れている証拠です。また、扉を開けた瞬間にカビ特有のツンとする臭いを感じる場合、すでに床下では広範囲にカビが繁殖している可能性があります。さらに、床のクッションフロアが一部だけ浮いてきたり、端の方が黒ずんできたりするのも、床下からの湿気が原因であることが多いのです。もし床下点検口が洗面所の近くにあるなら、勇気を出して蓋を開け、中の空気を嗅いでみてください。異常に湿っていたり、カビ臭かったりすれば、すぐに専門業者を呼ぶべきです。床下の水漏れは放置して改善することはありません。むしろ、時間が経てば経つほど、シロアリの侵入や建物の強度の低下を招き、修理費用は指数関数的に膨れ上がります。家の異変を「気のせい」で片付けず、五感を研ぎ澄ませて点検を行うことが、家族の健康と安全な暮らしを支える基盤となります。もし床下に潜ることができる点検口があるならば、定期的に懐中電灯で床下の土台を照らし、水濡れの跡や白いカビの発生がないかを確認すべきです。配管の不具合は、小さなうちに発見すれば数千円のパッキン交換で済みますが、床下浸水にまで発展してしまえば、その修繕費用は数十倍、数百倍に跳ね上がります。設備の構造を知り、定期的な自己点検を行うことこそが、住宅の機能を維持するための最も高度な管理技術と言えるでしょう。