最近、住宅やお店でよく見かけるようになったタンクレストイレ。すっきりとしたデザインで、空間が広く使えるのが魅力です。でも、従来のトイレにある大きなタンクがないのに、どうやって水を流しているんだろう？と不思議に思ったことはありませんか。その疑問を解消するために、タンクレストイレの洗浄の仕組みについてご紹介します。従来のタンク式トイレは、文字通りタンクに水を溜めておき、レバーを引くとその水が一気に流れ落ち、重力を利用して便器内を洗浄します。これは高低差を利用したシンプルな仕組みです。一方、タンクレストイレは、この「水を溜める」という工程を省き、水道管から直接供給される水の力を利用して洗浄を行います。これが、タンクなしで洗浄できる最大の秘密です。タンクレストイレの洗浄方式は、主に二種類あります。一つは「水道直圧式」。これは、水道管からくる水の圧力そのものを利用して便器に水を流し込む方式です。強い水圧で渦を作り、汚れを洗い流します。タンクに水を溜める時間が不要なため、連続して使用できるのが大きなメリットです。ただし、安定した洗浄力を得るには、ある程度の水道水圧が必要になります。もう一つは「ポンプ加圧式」です。これは、本体内部に搭載されたポンプが、水道から供給された水を瞬間的に加圧し、勢いよく便器に送り出す方式です。このポンプの力で、水道水圧が比較的低い場所でも安定した洗浄力を発揮することができます。こちらも連続使用が可能で、パワフルな水流でしっかりと洗い流します。これらの仕組みにより、タンクレストイレはタンク分のスペースが不要となり、トイレ空間を広く使えます。また、水を溜めないため、タンク内にカビや汚れがつきにくく、衛生的でお手入れが簡単な点も大きなメリットです。一方で、水道直圧式は水圧に左右されることや、どちらの方式も基本的に電気を使用するため、停電時には手動で水を流す必要があるなど、仕組みならではの注意点も存在します。タンクレストイレの快適さや清潔さは、このcleverな水の利用法によって実現されているのです。